Battle Chasers: Nightwarレビュー


最近のRPGといえば、見渡す限りどこまでも進むことができ、ゲームの進行もプレイヤーが自由に選択できるオープンワールドのスタイルを取ることが主流だ。

翻って、古くから日本で発売されてきたRPGといえば、ターンベースの戦闘で、各種コマンドからプレイヤーは行動を決定し、基本的に一本道のストーリーを進んでいく。日本で開発されたこれらのRPGを海外では「JRPG」なんて呼んだりしている。

今回紹介する「Battle Chasers: Nightwar」は、そんなJRPGの要素を豊富に盛り込んだ海外のRPGである。

概要

「Battle Chasers: Nightwar」はアメリカのデベロッパーであるAirship Syndicateが開発したロールプレイングゲームである。父親を探す女の子とその一味が乗っていた飛行船が、敵からの襲撃を受けて墜落した。一味は九死に一生を得るも、墜落先はマナの大鉱脈が存在する島であり、そこに群がる様々な人やそれ以外と一悶着繰り広げることとなる。

 

全体マップ

ゲームは大きく全体マップとダンジョンによって構成される。全体マップはすごろくのマスのように配置されており、各マスに敵モンスターやアイテムが表示されている。敵モンスターに接触することにより戦闘が開始される形となる。

マップの各所にはダンジョンが設置されている。ストーリーの進行に伴い指定されたダンジョンに侵入し、最深部にいるボスモンスターを討伐する形になる。

 

ダンジョン


ダンジョンではクォータービュー視点に切り替わる。ダンジョンの構成は毎回自動生成される。プレイヤーはマップの移動できる範囲であれば自由に移動することが可能だ。モンスターはダンジョン内を徘徊しており、こちらに気づくと追跡してくる。プレイヤーと接触すると戦闘が開始される。

ダンジョン内の各エリアにはワープポータルが設置されている。これはダンジョン内のその他ワープポータルへ移動できるものだが、エリア内のモンスターを全滅させないと利用できないため、原則戦闘は避けられないと思っておいたほうがよい。

ダンジョン内では、キャラクター毎に異なるスキルを使用することができる。例えばパーティを回復したり、モンスターに発見されにくくする等のスキルがある。各スキルは使用回数に制限があるものの、どれも強力なものであるため、上手く使えば効果的にダンジョンを攻略することができる。

 

戦闘方面

戦闘はコマンドベースで進行する。戦闘コマンドとして、アクションとアビリティが用意されている。アクションはMPを消費しない行動で、一部のアクションはOverchargeゲージを溜めることができる。アビリティは強力な攻撃や味方の回復が可能だが、MPを消費したり、コマンド決定から行動までに時間がかかる制約がある。

 

Overcharge

Overchargeとは、一部のアクションを実行した際に取得できる追加のMPである。アビリティを実行する際はOverchargeから優先して消費する。つまり、Overchargeゲージが十分にあれば、アビリティ実行時にMPを消費しなくなるということになる。

有効に使えばMPを節約しつつ戦うことができるが、溜めるには総じて攻撃力の低いアクションを繰り返す必要がある。あとどれくらいで敵を倒せるかを考えつつ、アクションとアビリティの配分を考えるのが重要になってくる。

 

アビリティ

アビリティはMPを消費して実行する強力な攻撃や回復手段である。強力であるが実行にあたりMPを消費したり、コマンド決定から発動までに時間がかかるものが多い。戦闘時の行動順は画面左側に表示されるのでコマンド実行時の行動順を確認しながらアビリティを効果的に実行しよう。

 

バースト


戦闘中にコマンドを実行するたびに、バーストゲージが一定量溜まっていく。バーストゲージが満タンになると、強力なバーストアビリティを使用することができる。これらは強力な攻撃や回復手段になり得るが、乱発できないため使用タイミングは吟味する必要がある。

 

戦闘はハード


本作における敵モンスターの攻撃力は総じて高い。雑魚敵とはいえ油断していると全滅する可能性がある。そのため、ダンジョン侵入前は、各キャラクターの長所が上手く組み合わさるようなパーティ構成を行い、戦闘においては最適な行動順とコマンドを考えつつ、効率的に敵モンスターを倒していくプレイスタイルが求められる。また、ダンジョン内を徘徊するモンスターは1体ずつエンカウントするように立ち回るなどの工夫が必要となる。

パーティ構成は出撃するメンバーを3人選択する形になる。控えのメンバーは経験値を獲得できないため、各キャラクター毎にレベル上げを行う必要がある。獲得できる経験値の渋さも手伝ってかこれがなかなか面倒である。各キャラクターはそれぞれプレイスタイルが異なるので、できるだけ同一パーティのほうが効率よく進めることができる。

 

雑魚戦が作業にならない工夫

敵モンスターについて、それぞれに実績が用意されている。例えば、該当モンスターを50体倒す、等である。実績を達成することによりパーティメンバーのステータスが上昇するなどのメリットがある。これによって、冗長になりがちな戦闘も目的をもって臨む事ができるようになっている。

 

武器、防具、アイテムのクラフト


本作では武器、防具、アクセサリ等の装備品と、回復ポーション等の消耗品をクラフトから作成することができる。クラフトで使用する素材は、全体マップやダンジョンに落ちているものを拾ったり、街の各商店から購入することができる。

本作におけるクラフトの特徴としては、要求素材が足りなくても作成が可能な点である。しかし、要求素材が不足している場合は成功確立が減少する。反対に素材を余分に投入すると成功確率が上昇し、200%や300%到達時にスペックと装備のレアリティが上昇する。良い装備が作りたければ、素材は多めに用意しておいたほうが良い。

 

エンチャント

装備に特定の能力を付与する事が可能である。例えば物理防御力アップや、クリティカル確立増加等である。これによって武器の弱点を補ったり、新しい攻撃属性(炎上、毒等)を武器に付与することができるようになっている。これもクラフトと同様の特徴があるため、素材は多めに用意しておいたほうがよい。

 

寄り道要素も豊富


ストーリーは基本的に一本道だが、それ以外の要素も用意されている。

賞金首はマップの各所に存在する強力なボスモンスターである。単体でも強力なモンスターであり、倒すと報酬を受け取ることができる。

コロシアムでは、複数のモンスターを倒しつつポイントを稼ぎ、獲得したポイントに応じた報酬を受け取ることができる。こちらはレベルの上昇に応じて高難易度に挑戦できるようになる。高ポイントを獲得すれば、報酬も豪華になる。


一度攻略したダンジョンも難易度を変更して再度攻略することができる。先述の通りダンジョンは自動生成されるので、飽きることなくダンジョンに潜ることができるようになっている。戦闘以外では、ダンジョン内の特定の箇所で釣りができるようになっている。釣った魚はメダルと交換することができる。集めたメダルは、街の交換所で様々なアイテムと交換することが可能だ。

 

操作感、システム等

操作はキーボードの他にコントローラーもサポートされている。個人的にはコントローラーを使用したほうが快適にプレイできた。ダンジョンのグラフィックは美しく、それぞれ特有の趣を持った雰囲気で構成されているため、使い回し感を感じることなく新鮮に楽しむことができるだろう。オープニングムービーをスキップできるオプション設定があったりと、細かい点にもこだわっているように見える。

日本語音声、テキストに対応しているが、日本語テキストでゲームをプレイした場合一部UIに表示の不具合があるので、結局英語でプレイしている。

 

全体的なもっさり感


戦闘やクラフトにおいて全体的にスピード感がなく、速度も変更できないため、慣れてくると煩わしく感じるようになってくる。

戦闘では選択肢たコマンドのアクションを省略したりスピードアップすることができないため、後半に向かうに従い戦闘スピードの遅さが気になってくる。一回の攻撃が強力な本作において、じっくり考えて戦闘してくださいという意図があるのかもしれないが、やっぱり遅い。

クラフトについては、完成品を選択後素材の数を決定し、その後ボタンをしばらく押しっぱなしにしてゲージが100%になると完成するのだが、消耗品等を大量に作成する際に非常に煩わしく感じた。消耗品のクラフトは即時に完成するようにしてほしいところではある。

 

古き良きJRPGに今風な要素を詰め込んだ良作

本作はコマンドベースのRPGに収集要素やその他今風のやりこみ要素を盛り込んだ良作である。その昔よくRPGで遊んだ人であれば違和感なく遊べるだろう。

1週クリアまでの時間も20~30時間程度であるため、日々どっぷり浸かることもなくサクッとクリアすることが可能だ。

日本語字幕、音声にも対応しているので、英語が苦手なプレイヤーにもおすすめである。



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