「橋」は我々が日頃よく利用する建造物のひとつである。街で見かける橋は、多くの車輌が同時に通過しても突然中央から折れたりしないように作られており、定期的にメンテナンスされているので、利用者から見れば安全に利用でき、それが当たり前だと思っている。今回紹介する「Bridge Constructor Portal」はこれまで当たり前だと思っていた安全を提供するために思考を重ね続けるゲームである。
橋を作って車輌を通す
「Bridge Constructor Portal」は、オーストリアのClockStone社が開発したパズルゲームである。スマートフォンでリリースされていた「Bridge Constructor」が「Portal」とコラボしたもので、PC版の他にスマートフォン版もリリースされている。また、本作は日本語にも対応しているので、英語が苦手な方でも言語を変更して遊ぶことができる。
プレイヤーは「Aperture Science」の新規従業員として、車輌に乗ったベンディーたちを輸送する経路を設計する業務に従事する。用意された60のテストチェンバーでは「Portal」でおなじみの様々なオブジェクトがプレイヤーを妨害したり、助けてくれたりする。これらのオブジェクトを活用しつつ、車輌が通過するのに適した橋を建設するのがプレイヤーの目的となる。
ゲームの流れ
一般的なゲームの流れは以下の通りとなる。もちろんこの流れに従う必要はないし、もっと優れた方法があるかもしれない。(より優れた方法があればぜひ教えてほしい。)
- ステージ全体図からベンディーの予想進路をイメージする
ステージ上には様々なオブジェクトがベンディーに様々な作用を及ぼしたり、攻撃したりする。まずは何も建築しない状態でベンディーがどのような経路を通りゴールへ向かうかをイメージしよう。 - 仮組みする
おおよそのイメージがかたまったら橋を仮組みしてみる。この時点で特定の箇所に負荷が集中している場合は、該当箇所が赤くハイライトされるので、組み方を変更する等の対応が必要である。なお、放置した場合実際に車輌を通過させる際に重大な問題へ発展する可能性がある。 - 1台だけ通してみる
橋ができあがったら、1台だけ車輌を通過させてみる。自分のイメージしたとおりに車輌が通過するかどうかを確認し、問題があれば橋を修正する。 - 橋を修正する
1台だけ通した際に発生する問題として、イメージした通りに車輌が通過しない、橋が倒壊する等がある。イメージ通りに車輌が通過しない場合、橋の角度や組み方を変更して、再度1台だけ通してイメージ通りに通過するか確認する。橋が倒壊する場合は、負荷の集中している箇所を変更し、負荷を分散させる必要がある。 - 全ての車両を通す。
イメージ通りに車輌が通過するようになったら、全ての車両を通してみる。1台のみ通過させる際との違いは、車輌が通過した際に橋がしなり、イメージとは異なる挙動をすることがあるという点である。橋の強度を増やすことによってある程度対処可能だが、橋のしなりを完全に回避することは困難であるケースが多いので、しなっても問題なく通過できるような橋の組み方を考えたほうがいいだろう。
Portalワールドを忠実に再現
筆者がプレイしたのはPC版だが、キーボード+マウスによる操作の他にコントローラーでの操作も対応している。両方試してみたが、操作感においてどちらかが極端に遊びやすい(遊びにくい)ということはない。
1画面内にAperture Scienceの実験施設がよく再現されており、ポータルやタレット等のPortalでおなじみの仕掛けと、橋をかけて車輌を通すというゲームの目的がうまく融合し、車輌がただ地面を走るだけでなく、様々な挙動を見せてくれる。
難点としては、橋の特定の箇所をまとめて削除する機能がないため、ある特定の範囲をまとめて削除して作り直す際にそれぞれ手作業で削除する必要があり、若干煩雑であると感じた。それ以外の操作においては連続してパーツを配置しやすくする工夫がされており、楽に建築を進めることができる。
ボリュームについても全60ステージあるので、あっさりクリアできてしまうようなこともなく、じっくり腰を据えて楽しむことができる。ステージが進むに連れて様々な仕掛けを使用して車輌を通す必要があり、車輌経路のイメージがどんどん現実離れしてくるのを楽しめる。
ボリュームに対して価格も妥当であると感じるが、スマートフォン版の方が安いので、スマートフォンで遊びたい人はスマートフォン版を購入してもいいだろう。Portalをプレイしたことがない人でも十分楽しめるが、Portalをプレイしたことがあればより楽しむことができる。